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便秘症

はじめに

 症状が軽度な場合は生活習慣の改善が有効です。しかし、症状が重度な場合や長期間続く場合は、医師の診断と治療が必要です。医師は患者さんの症状や生活環境を考慮して適切な治療法を提案します。具体的には、浸透圧性下剤、上皮機能変容薬などが第一選択になります。

便秘症の定義

便秘:本来体外に出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態

便秘症:便秘により症状が現れ、検査や治療を必要とする場合

と定義されています。

具体的に慢性便秘症の診断基準は

1.「便秘症」の診断基準

以下の6項目のうち、2項目以上を満たす

  • 排便の4分の1超の頻度で、強くいきむ必要がある。
  • 排便の4分の1超の頻度で、兎糞状便または硬便(ブリストル便形状スケール[BSFS]でタイプ1か2)である。
  • 排便の4分の1超の頻度で、残便感を感じる。
  • 排便の4分の1超の頻度で、直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある。
  • 排便の4分の1超の頻度で、用手的な排便介助が必要出ある(摘便・会陰部圧迫など)。
  • 自発的な排便回数が、週に3回未満である。

2.「慢性」の診断基準

 6ヶ月以上前から症状があり、最近3ヶ月間は上記の基準を満たしていること。

とされています。

便秘症の原因

 慢性便秘症には原発性と続発性があります。原発性には腸管の拡張をともなう稀な病気と、腸管の拡張をともなわない慢性機能性便秘があります。続発性には、

器質性

大腸がん、腸閉塞など

症候性

内分泌・代謝疾患
糖尿病、甲状腺機能低下症、慢性腎不全など
神経疾患
脳血管障害、多発性硬化症、パーキンソン病、脊髄損傷、精神発達遅滞など
膠原病
強皮症、皮膚筋炎など
変性疾患
アミロイドーシスなど
精神疾患
うつ病、心気症など
大腸の器質的異常
裂肛、痔核、炎症性腸疾患、直腸脱、直腸瘤、骨盤臓器脱など

薬剤性

抗コリン薬
アトロピン、スコポラミン、抗パーキンソン病薬など
向精神薬
抗精神病薬、抗うつ薬、など
抗パーキンソン病薬
ドパミン補充薬、ドパミン受容体作動薬など
オピオイド
モルヒネ、コデイン、フェンタニルなど
化学療法薬
植物性アルカロイド、タキサン系など
循環器作用薬
カルシウム拮抗薬、抗不整脈薬、血管拡張薬など
利尿薬
抗アルドステロン薬、ループ利尿薬など
制酸薬
アルミニウム含有薬など
鉄剤
フマル酸第一鉄など
吸着薬、陰イオン交換樹脂
沈降炭酸カルシウム、ポリスチレンスルホン酸カルシウムなど
制吐薬
グラニセトロン、ラモセトロンなど
止痢薬
ロペラミドなど

多数の原因がありますので、注意が必要です。(慢性便秘症診療ガイドライン2017)

便秘症の治療

 症状が軽度な場合は生活習慣の改善が有効です。しかし、症状が重度な場合や長期間続く場合は、医師の診断と治療が必要です。医師は患者さんの症状や生活環境を考慮して適切な治療法を提案します。具体的には、浸透圧性下剤、上皮機能変容薬などが第一選択になります。

まとめ

 便秘は一般的な症状であり、生活習慣や食生活の改善で予防・改善が期待できます。しかし、重度な便秘は医師の診断と治療が必要です。日頃から規則正しい生活を心がけ、症状が気になる場合は早めに医師に相談しましょう。