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高尿酸血症・痛風

はじめに

高尿酸血症とは

 高尿酸血症は、血液中の尿酸の濃度が通常よりも高い状態、血液中の尿酸値が7.0mg/dlを超えた状態を言います。尿酸はプリン体という物質が体内で分解されてできる老廃物です。プリン体は肉や魚、野菜、きのこなど、さまざまな食品に含まれています。

 痛風とは

 痛風発作は、尿酸が体内で結晶化し、関節などに沈着して炎症を起こす病気です。痛風発作が起こると、発症した関節が急に激しく痛み、赤く腫れ上がります。痛風発作の背景には高尿酸血症などが存在し、症状は数時間から数日で治まりますが、繰り返すことがあります。

尿酸の生成と排泄

尿酸の生成

 尿酸の生成は主に肝臓で行われますが、他にも骨髄、筋肉、一部は小腸でも産生されます。

尿酸の排泄

 尿酸は主に腎臓と消化管を通じて排泄されます。これらが正常に機能していれば、体内の尿酸のバランスが維持されます。一方、消化管からの排泄が低下している場合は効率に痛風発作を起こすと言われています。

高尿酸血症の分類

 高尿酸血症は、尿酸産生が亢進した「尿酸産生過剰型」、腎臓からの尿酸排泄が低下した「尿酸排泄低下型」、消化管から便中への尿酸排泄が低下した「腎外排泄低下型」、これらの複数が影響する「混合型」に分けられます。「尿酸産生過剰型」と「腎外排泄低下型」を合わせて「尿酸腎負荷型」と呼ぶこともあります。

高尿酸血症の原因

 高尿酸血症の原因は大きく遺伝的要因と外的要因に分けられます。

遺伝的要因

 遺伝的な要因が高尿酸血症の一因となることがあります。家族に痛風や高尿酸血症の方がいる場合、遺伝的な傾向があるかもしれません。

外的要因

尿酸産生過剰型
悪性腫瘍、甲状腺機能低下症、多血症など
尿酸排泄低下型
慢性腎臓病(CKD)、脱水、利尿薬内服など
混合型
肥満、飲酒など

高尿酸血症の診断

血液検査

 高尿酸血症の診断には血液検査が行われます。血液中の尿酸値が7.0mg/dlを超えていれば高尿酸血症と診断されます。

尿検査

 尿中の尿酸の量も測定され、

  • 尿酸排泄低下型(尿中尿酸排泄量<0.48mg/kg/hourあるいは尿酸クリアランス<7.3ml/min)
  • 尿酸腎負荷型(尿中尿酸排泄量>0.51mg/kg/hourおよび尿酸クリアランス≧7.3ml/min)
  • 混合型(尿中尿酸排泄量>0.51mg/kg/hourおよび尿酸クリアランス<7.3ml/min)

などに分類されます。

高尿酸血症の治療

生活習慣の改善

  • カロリー制限(標準体重 x 25〜30kcal/kg/日)
  • プリン体制限(400mg/日以下)
  • 果糖の過剰摂取制限(清涼飲料水やジュース類の摂取制限)
  • 飲酒制限(特にビール)

を行い

  • 十分な飲水量(尿量が2000ml以上になるように)

を確保するようにします。

薬物療法

  • 尿酸生成抑制薬(ザイロリック、フェブリク、トピロリックなど)
  • 尿酸排泄促進薬(ユリノーム、ユリスなど)

尿酸排泄促進薬内服の際には、尿路結石予防のために尿アルカリ化薬(ウラリット)を併用します。

治療目標

 尿酸値6.0mg/dl未満を目指し、副作用をモニターしながら最低6ヶ月は内服を継続します。

まとめ

 高尿酸血症は尿酸の異常な増加が引き起こす疾患であり、急性痛風発作や尿路結石などの症状を引き起こすことがあります。高尿酸血症は、日常生活では殆ど症状がありませんが、早期の診断と適切な治療、生活習慣の改善が肝要です。