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咳喘息とアトピー咳嗽

はじめに

 本邦の慢性乾性咳嗽の主な原因疾患は、咳喘息、アトピー咳嗽、胃食道逆流症と言われています。その内、咳喘息は、喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)や呼吸困難などの症状を伴わない慢性的な咳嗽で、気管支の過敏性亢進によると考えられています。気管支が少しでも伸び縮みすると咳が出やすくなってしまっていることが原因です。対して、アトピー咳嗽は、気管支壁表層の咳受容体の感受性亢進によると考えられています。

症状・検査・治療

咳喘息とアトピー咳嗽で共通なこと

  • 中年以上の女性に多い
  • 深夜から早朝に悪化しやすい
  • 喫煙、運動、温度の変化、花粉などの刺激で悪化しやすい
  • アレルギー素因がある
  • 聴診をしても喘鳴やパチパチ音などは聞こえない
  • 呼吸機能検査はほぼ正常
  • ステロイド(吸入・経口)が奏効

咳喘息とアトピー咳嗽で異なること

  • 咳喘息は気道過敏性亢進、アトピー咳嗽は咳受容体感受性亢進
  • 咳喘息はヒスタミンH1受容体拮抗薬が無効で、β2刺激薬やテオフィリンなどの気管支拡張薬とロイコトリエン受容体拮抗薬が奏効、アトピー咳嗽は気管支拡張薬やロイコトリエン受容体拮抗薬が無効で、ヒスタミンH1受容体拮抗薬が奏効
  • 咳喘息は約30%が喘息へ移行、アトピー咳嗽は喘息への移行はなし

まとめ

咳喘息とアトピー咳嗽は、本邦の慢性乾性咳嗽の2大原因

慢性乾性咳嗽で、β2刺激薬に反応すれば咳喘息を疑う

β2刺激薬で効果が乏しい場合はアトピー咳嗽を疑い、ヒスタミンH1受容体拮抗薬や吸入ステロイドを

咳喘息の30〜40%は典型的な喘息に移行するため、早期から吸入ステロイド治療で喘息に移行するのを予防することが肝要