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肺炎

はじめに

 肺炎とは、肺に細菌やウイルスが感染して急性の炎症を起こした状態を言います。日本人の2022年の死亡数を死因順位別にみると、1位悪性新生物、2位心疾患、3位老衰、4位脳血管疾患、5位肺炎となっていて、7万4千2人が亡くなっています。肺炎による死亡数は、2012年をピークに減少傾向にあります。ただし、肺炎で亡くなる日本人の97.9%が65歳以上の高齢者(2021年)となっていますので、特に高齢者は肺炎に罹らないよう日頃から予防することが重要です。

 かぜ症候群との違いは、炎症の部位が、かぜ症候群は鼻やのどと言った上気道であるのに対して、肺炎は肺胞と言われる気管支より先の肺深部に首座があります。

肺炎の原因

細菌による肺炎

肺炎球菌
肺炎で最も一般的な細菌で、特に高齢者や免疫力が低下していると罹りやすいです。
ヘモフィルスインフルエンザ菌
主に子供が罹りやすいです。

ウイルスによる肺炎

新型コロナウイルス
ウイルスの直接の炎症のあとに過剰な免疫応答による免疫性肺炎をきたすことも。
インフルエンザウイルス
季節性の流行があり、高熱や全身の倦怠感が現れます。
RSウイルス
小児や成人で免疫不全の有る場合に肺炎を起こすことがあります。

菌類による肺炎

  • 真菌類(クリプトコッカス、アスペルギルス、カンジダなど)、ニューモシスチス(旧・カリニ肺炎)など

寄生虫

  • 誤嚥性、薬剤性、症候性、化学性、好酸球性など

肺炎の症状

 発熱、咳嗽、喀痰、呼吸困難、胸痛、倦怠感、食欲不振などの症状を呈します。

肺炎の検査所見

 胸部画像検査で、新しい異常陰影が出現し、血液検査で白血球数の増加や炎症反応の上昇を認めます。

肺炎の重症度

次の5項目の内、1または2項目以上で入院治療を考慮します。

  • 男性70歳以上、女性75歳以上
  • 脱水あり、若しくはBUN21mg/dl以上
  • 血液中の酸素飽和度が90%以下
  • 意識障害あり
  • 収縮期血圧90mmHg以下

肺炎の予防

予防接種
肺炎球菌ワクチン、季節性インフルエンザワクチン、新型コロナワクチンなど
手洗い
感染予防の基本中の基本です。こまめな手洗いが大切です。
高齢者では誤嚥(口から食道に入るべきものが気管に入ってしまうこと)しやすいことから、口の中を清潔に保つ口腔ケアも大切です。
栄養豊富な食事と適度な運動も必要です。
禁煙、アルコールの適量摂取、健康的なライフスタイルの維持も重要です。

まとめ

 肺炎は下気道の感染症であり、早期の診断と治療が重要です。適切なワクチン接種や手洗いなどの予防策を積極的に行い、免疫力を維持することが大切です。また、肺炎にかかった場合は早期に医療機関を受診し、指示された治療をしっかりと受けることが必要です。